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踊る★闇鍋事件

「ねぇヘレネ、闇鍋って知ってるかい?」
 それはとある初冬のころ。
 一人の青年が、目の前に座っている少女に向かって切り出した。
「ヤミナベ? 何ですか、それ」
「各自が思い思いに持ち寄った材料を、暗闇の中で鍋で煮て食べるんだよ」
「え、じゃあ自分が何を食べるか分からないじゃないですか。あたったりでもしたらどうするんですか」
「それが醍醐味なんだよ。今はちょうど冬だし、鍋をするならぴったりだとは思わない?」
「思いません」
 少女--ヘレネは青年の問いかけにきっぱりと返答した。
「えー。ノリ悪いなぁ。せっかく闇鍋パーティー開こうと思って、みんなに声かけたのに。……まぁ、それでもいいよ。どうせ強制参加だから」
「え!? 強制!? 嫌ですよそんなの!」
「うーん、じゃあ僕の特製青汁『スーパーケールとろいあ350』1リットル飲んでくれるんならいいよ」
 な、何でそこで青汁!? しかも彼の趣味のひとつは怪しい薬と危険な飲み物作りだという噂を聞いたことがある。明らかに危なっかしい!! それを1リットルなんて……
 命の危険を感じた彼女は、笑顔を引きつらせながら言った。
「よ、喜んで、参加させていただきます……」
  「じゃ、交渉成立。えーっと、パーティーは今日の夜八時、僕の家でやるから何か適当な食材でも持ってきて」
 交渉じゃなくて、今のは明らかに脅しだったような……
 などど反論もできず、彼女はふらふらと部屋を出て行く彼をただ見送るしかなかった。

 丘の上に建ちそびえる、ものすご〜く広い豪邸。
 ここが彼--パリスの家である。
 パリスは本国で一、二を争うトロイア財閥の御曹司、ようするに大金持ちなのだ。
 ヘレネは、その門の前にいた。
「適当な食材って、こんなのでいいのかな……」
 と言う彼女の手には、小さな手提げ袋が握られている。
 中身は豆腐(絹ごし)である。
 ヘレネが少し戸惑っていると、おもむろに門が開いた。
「あー、いらっしゃい」
 と、パーティーの主催者は朗らかに迎え入れた。
「持ってきた食材はそこにいるメイドさんに渡してね。勝手に鍋の中に入れてくれるから」
「え、自分で入れないんですか?」
「え、普通はそうじゃないの?」
 ヘレネは思わず手提げ袋を取り落としそうになった。普通は自分でやるだろう!
「さぁ、早く渡して。もうみんな集まってるよ」
「え、あっ……はい」
 ヘレネが門の前にいたメイドさんに急いで袋ごと食材を渡すと、パリスはもう玄関の中へと消えていた。
「え、ちょっ、早っ……」
 ヘレネは急いで彼の後を追う。  やがて追いつくと、ヘレネはパリスに不満をぶつけた。
「何で置いて行っちゃうんですか」
「だって君、遅いんだもん」
「いや、だからって……」
「ねぇ、食材って何を持ってきた?」
 パリスはヘレネの言葉を完全に無視して己が問いたいことを尋ねた。
「えーっと……と」
「あ〜っと、言っちゃダメ。言っちゃったら面白くないでしょ」
 ……それならそんなこと訊くなよ、と思わずツッコミたくなった。
「さ、着いたよ。ここが会場さ」
 パリスがヘレネにささやくと、豪勢な扉の近くにいた召使が扉を開いた。
「うわあ……」
 ヘレネは感嘆の声を上げた。
 床には赤い絨毯。
 天井にはシャンデリア。
 長いテーブルには、レース編みの高価そうなテーブルクロスがかかっている。
「……うわぁ、ヤミナベごときで何とも見事なお金の無駄遣い……」
 ヘレネはぼそりと呟いた。
「ん? 何か言った?」
「いえ、何にも」
 笑顔でそう返すと、ヘレネはいそいそと部屋へ入っていった。

「これでみんなそろったみたいだね。さて、そろそろ始めようか」
 パリスはテーブルを囲った人たち--その数5、6名--をぐるりと見渡し確認すると、パッと電気が消えた。
「じゃあ、今から土鍋を運び入れるから、僕から右回りに一人ずつ鍋の中の具と汁をすくって、今から渡す器に入れてね」
 パリスがそう言い終わると、数人の人間が薄暗闇の中で鍋をテーブルに置くのが見えた。
 さっきまで真っ暗闇と思えていた部屋の中が、目が慣れてきたのだろうか、うっすらとではあるがだいぶ見えるようになってきたようだ。
「では、まず僕から」
 と、パリスはおもむろに菜箸を手に取り、箸を鍋の中に入れた。
「……ん」
 彼は、手当たり次第に箸にはさんだものを素早くすくい上げ、お椀に落とすと、怪訝そうな声を上げた。
「何だろう、これ。何か…とてもやわらかくて……うわぁ!! もう、すぐに崩れちゃうなぁ」
 ヘレネは、心の中で(あ、それ私の豆腐(絹ごし)だ)と呟いた。
 パリスは「本当に何なんだろう、これ」
と呟きながら、席についた。

 その後、「うわっ、なんじゃこりゃあああ!! 何か光る物が!!」「何ですかこれ! 角のようなもののようですけど……」……などなど、さまざまな奇声が飛び交う中、パーティーは順調に進んでいった。

 そして。

 ついに、ヘレネの番が回ってきた。
(何か変なものでもあたったらどうしよう)
 心臓が早鐘を打つ。
 --ヘレネは意を決して、鍋に箸を突っ込んだ。
 すると、箸が何か硬いものに当たる感触があった。
「……?」
 これは何だろう、と疑問に思いつつも、はそれを箸にしっかりとはさみ、落ちないように鍋からすくい上げ、そのまま器に入れた。

「これで一回りしたね。じゃあ、電気をつけるよ」
 暗闇からそんな声が聞こえるとともに、パッと部屋に明かりがついた。
「……な、何これ」
 器の中の淀んだ汁から、さっき鍋から取ったものを引き上げてみると--
 黄金色に輝く、楕円形の金属片。
 表面には『万延』という文字が彫られている。
「こ、小判?」
「あ、それ、それがしの入れたものでござる」
 と手を上げたのは、忍者風な恰好をした男だった。
 ヘレネが「え、誰?」
というような表情を浮かべていのに気づいたのか、パリスがにこりと笑って紹介してくれた。 「あ、彼、いつもこの屋敷を見回りしてくれている伊賀忍者の服部さん」
「忍者が屋敷の見回りぃ!?」
 私は驚いて思わず叫んだ。世界中どこを見渡しても、このご時勢に屋敷の警護を忍者に頼んでいる大金持ちなぞ、ここ以外存在しないだろう。
「あ、よろしくでござる」
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
 忍者の服部さんが礼儀正しくぺこりとお辞儀をすると、ヘレネも慌ててお辞儀した。
「それ、徳川埋蔵金の一部でござる」
「と、徳川埋蔵金!?」
 徳川埋蔵金と言えば、かの徳川幕府が密かに地中に埋めたと伝えられている金塊もしくはそれに準じる金属貨幣のことである。大政奉還により江戸城が無血開城されたときに、当時財政難であった明治新政府が幕府が残していったお金を資金としようとして城内の金蔵を探るも、そこは空だった。地中に埋めたのだろうと思い、軍隊まで動かして探してみたのだが、一向に見つからず、現代になってもなお発掘作業を続けている人もいると聞いたことがある。
「何でそんな歴史的大発見な代物が--」
「いやああああっ!!」
 ヘレネの発言をさえぎるかのごとく、悲鳴が轟いた。
「なななな何ですのこの不可解なキノコは!!」
「あ、あの人はアースガルズ財閥のご令嬢、フレイヤさんね」
 彼女の悲鳴にも動じず、パリスは呑気に紹介した。
「ああ……これはどうみても毒キノコですね……」
 白衣を着て、眼鏡をかけた男性が、フレイヤのキノコを手に取り、虫眼鏡でじっくりと見て言った。
「で、彼はうちのお抱え医師、アスクレピオスさん」
 と、パリスはこれまた呑気な声でヘレネに紹介した。
「でも、こんな毒々しいキノコ、現実世界で一度も見たことないんですが……」
 アスクレピオスが観察しているものは、赤地に白い斑点という、まさに普通の人が『キノコ』と言われて真っ先に思い浮かべるようなキノコであった。
「あー、それはわしの入れたものじゃよ」
 と名乗りを上げたのは、白髪で真っ白な髭を生やし、和服に似ているけれどちょっと違う着物を着た老人だった。
「貴方でしたか……何ですか、この毒々しいキノコは」
 アスクレピオスは会釈して、呆れたように尋ねた。
 パリスもにっこりと微笑んで挨拶した。
「ああ、師匠。ご機嫌いかがですか」
「師匠!?」
 ヘレネが目を丸くして叫んでいるのを尻目に、パリスは老人と和気藹々と話し始めた。
「おおパリス。これまた見ない間に大きくなったのう」
「つい昨日、漢方の調合法を教わるためにお会いしたと思うんですが」
「……ほ…ほほ。そうだったかのう?」
 老人はパリスから目を逸らして言った。額には冷や汗が浮かんでいる。
「最近、記憶力がものすごく落ちてませんか? 先日漢方を教わったときも、葛根湯の粉と間違えて大麻の粉末入れようとしてたじゃないですか」
「大麻!?」
 頭上に危ない言葉が次々と飛び交う。
 すると、話が見えなくて戸惑っているヘレネに気づいたのか、アスクレピオスは彼女に歩み寄って老人を紹介した。
「ヘレネさん…と言いましたか。この方はパリス坊ちゃんの東洋医術の先生兼副主治医の雲中子さまです」
「あ、そうなんですか。……というと、中国の方ですか?」
 それならあの奇妙な着物も納得がいく。日本でも、今の時代に和服を着ている人はいるだろうし、中国の人が中国の昔の服を着ていたっておかしくない。
「はい。--ついでに言っておくと、あの方、仙人なんですよ」
「……は?」
「何か昔は色々すごかったとか言いますけどね、今はただのボケたじーさんですよ。まぁ何千年も生きていればそうなってしまうのかもしれませんけど」
 せ、仙人……!?
「あ…あいつの人脈って、一体……」
 ヘレネはパリスの偉大さに、感心を通り越して呆れ果ててしまった。
「それにしても、師匠? 何ですかこのマ●オに出てくるスーパーきのこ的な物体は」
 パリスは例のキノコを指差し、怪訝そうに尋ねた。
「マ●オに出てくるスーパーきのこ的な物体とは何じゃ。それは仙人茸と言うてなぁ、仙人だけが食すことのできるという、幻のキノコじゃ」
「ああ、これが。……え、それなら確かうちの庭にも生えていたよね、これ」
「そうじゃ。わしが勝手に植えた」
「……人の庭を何だと思って……」
「……仙人茸、って……仙人はキノコを食べるんですか? 霞を食べて暮らしていると聞きましたが」
 ヘレネが疑問をぶつけると、雲中子は怪訝そうに問い返した。
「おぬしは誰じゃ?」
「あ、ごめんなさい。自己紹介遅れました。ヘレネと申します」
「ほう。わしは雲中と申す」
 して、と雲中子は続けた。
「仙人は霞を食べて暮らしているという噂が飛び交っているようじゃな。確かに霞を食うこともある。しかし、霞だけを毎日食しているわけではないのじゃよ」
「えー。嘘だ。師匠、この前偉そうに『わしら仙人は霞しか食わないのじゃ。だからそんな俗なもの、飲めるわけないじゃろ』とか言って、僕特製の青汁『スーパーケールいりおす200』五リットル飲んでくれなかったじゃないですか〜」
 直後、ぎくっという音が雲中子の方から聞こえた。
「この前と言っていることが違うじゃないですか?」
 パリスはにっこりと笑って腕をバキボキと鳴らしながら自称仙人に問いかけた。
「え…いや……これは……その………」
「アクレピオス。僕の部屋から『スーパーケールとろいあ350』持ってきて」
「かしこまりました」
「いやじゃ〜!! 青汁なんてええええ」
 ヘレネはあえて雲中子の方から視線を逸らした。
 部屋から気持ち悪い色の液体が入ったビンを持ってきたアクレピオスがパリスにビンを渡し、それを受け取ったパリスが雲中子の口にビンの口を押し込んでムリヤリ飲ませようとしているのが目の端にチラリと映ったような気がするが、気にしない気にしない。
「え、ちょっ、待って! え、本気でソレわしに飲ませようとしてんの? ちょっ、老人をいたわろうとかいう優しい心はないわけ??」
 ビンの口が己の口に押し込められそうになりながら、必死に弁解を求める雲中子だが、あいにくパリスにはそんな良心なぞ存在しなかった。
「さーて、死ぬ前に何か言い残すことは?」
「イヤイヤイヤイヤ死ぬって縁起でもないことを言うでない!! しかもソレって現に自分の青汁が殺人兵器だってこと判ってるって言ってるよね、ソレ!!」
「つべこべ言わないでさっさと飲めよこの自称仙人!!」
「ちょ-------」
「ぎいやああああああっ!!」
 雲中子昇天(仙人になるとか仙界に戻るとかいう意味ではなく、本来の意味で)5秒前を切ったそのとき、突然部屋に叫び声が響き渡った。
「ま、不味いでござるぅぅぅ!!」
 叫び声の主は、伊賀忍者・服部さんだった。
 彼のお椀の中を見ると、お椀の中に光源があるらしく、何やら光っている。
「すっ、すみません!! 間違って光るコケを入れてしまいました!!」
 アスクレピオスは顔をしかめた服部さんの元に急いで駆け寄った。
「何と間違えるでござるかぁぁぁ!!」
「コケです!!」
「どっちもどっちじゃないですか!! というか光るコケとコケの違いって何!?」
「それはとある地底王国でした。私がかの国に行ったとき、そこには光るコケが一面に……」
「って何で地底王国!?」
 真面目に答えるアスクレピオスに、ヘレネは思わず叫んだ。
「ちょっとお水を持ってきます!!」
 アスクレピオスはお椀を持ったまま急いで部屋を出て行った。
 少しの間、気まずい沈黙が流れた。
 それを破ったのはパリスだった。
「地底王国…か。懐かしいな」
「……え?」
「あいつは一時期地底王国に医学の旅に出ていて、そのときのよしみで地底王国に招待されたことがあるんだ。ちょうど一年前だったかな?」
 パリスの爆弾発言に、ヘレネは呆れながら呟いた。
「……あなたたちって、一体何者なのよ……」
「すごいですわ! 今度機会があれば連れて行っていただきとうございますわ」
 そんな彼女を尻目に、フレイヤは感激していた。
「いいよ。そのときはヘレネも招待してあげるから」
 ……いらない。そんなご好意いらないから。
 ヘレネは心の中で呟いた。
「--で、そのときお土産にもらった光るコケ玉を面倒臭くて放置していたら、干からびてしまったといういわくつきの物体を、今回の僕の闇鍋の具材に起用したんだけど……」
「ぶふっ!!」
 背後から、何かを吹き出す音が聞こえた。
「え、師匠、もしかして当たったの?」
「の……海苔だと思ったではないか!! それにしては風味が異なるよのう、と思ってはいたが」
「コケ玉が海苔? 球状になっている時点で何で気づかないんですか。そろそろ病院に行ったほうがいいのでは?」
「いやじゃ!! わしはまだまだ健康体じゃ〜!!」
「坊ちゃん、老人をからかうのはこれくらいになさったほうがよろしいかと存じますが?」
「わっ!!」
 背後から唐突に声がして振り向くと、そこにはついさっきアメーバを処理しにいったはずのアスクレピオスが立っていた。
「早っ! もう帰ってきたんですか」
「医師たるもの、これくらい行動が早くなくてどうするのですか」
「でも、さすがに早すぎるのでは……」
「それよりも」
 アスクレピオスはフレイヤに向かって微笑んだ。
「私のお椀の中に、何やら角のようなものが入っておりましたが……あなたのものですね?」
「ええ。あれはユニコーンの角ですわ。先日生け捕りにしましたの」
 フレイヤが誇らしげに言うと、アスクレピオスは食いついた。
「生け捕り!? すごいですね! 今度やり方を教えてください。私も一回やってみたことがあるんですが、うまくできなくて……」
「そんなの簡単ですわ。今度うちにいらっしゃい。教えて差し上げますわ」
 何だか普通じゃないような会話が聞こえるような気がする。
「ありがとうございます。--さて、みなさん、そろそろ食べましょう。せっかくのお鍋が冷めてしまいますよ」
「確かにそうだね。じゃ、そうしよう」
 アスクレピオスの提案に、パリスは快く賛同した。
 一同は、いただきま〜す、と言って、それぞれ獲得した食材を食べ始めた。

「とりあえず、この埋蔵金をどうにかしなくちゃ……」
 食べるのには忍びないというか、こんな硬いものまず食べられないし。つーか、こんな硬いものまず食べられないからね!!
 ヘレネはとりあえず徳川埋蔵金をこのドブ汁から救出することにした。
「パリスさん、水道ってどこにあります?」
「えーっと、そこを出た所の廊下をまっすぐ突っ切って、その突き当たりを右に曲がってさらに左に曲がり、そのまままっすぐ行った所」
「ありがとうございます」
 ヘレネはお礼を言って、部屋をあとにした。

「ふう、埋蔵金も無事すくい上げたことだし、これをこのまま警察に……って、ん?」
 水道から戻ってきてみると、何やら部屋の方が騒がしい。
「何してるのかな、あの人たち……」
 興味本位で覗いてみると、そこには……
「ヤ〜レンソ〜ランソ〜ランソ〜ラン、ソ〜ランソ〜ラン、ハイハイ!!」
 激しく踊るパーティー参加者の姿があった。
「おお、ヘレネ君」
 その中で、一人がつがつと鍋の具をむさぼっている老人が、呆然と立ち尽くしているヘレネに向かって呑気に声をかけてきた。 「雲中子さん!! これは一体何なんですか!?」
 すると、雲中子は飄々と答えた。
「ちと忠告するのを忘れてしまったようでのう。あのキノコは、仙人が食すのであれば何ら害はないのじゃが、俗人が食うてしまうと踊りだしてしまうのじゃ。あの煮汁の中には、さっきフレイヤ嬢ちゃんに当たった仙人茸のえきすとやらが染み出していてのう。わしが気づいた頃にはみんなきれいに完食してしまっていたのじゃ」
 慌てて机を見てみると、空になったお椀がゴロゴロ転がっていた。
「って、何でソーラン節----っ!?」
 ヘレネの悲愴感に満ちたツッコミは、少し肌寒くなってきた初更の館に虚しく響き渡ったのであった……

★あとがき★

 はい。この駄作は一体何でしょう(笑)
 えーとこれはですね、高1(2008年)の夏休みの現代文の宿題で、散文(詩や俳句、短歌などの韻律を持った文章(韻文という)ではなく、論説文、小説など普通の文章)限定で何か書いて応募しろっていう課題が出たんですよ。それの改訂版(真面目なコンクールでは実現できなかったシーンを挿入)です。
 それまではいつも詩で済ませていた私は、コレを聞いたときメチャクチャテンパりましたね。
 で、そんな私の目の前に現れた(っていうか応募できるコンクール一覧の紙の片隅に書いてあった)のが、某児童文学賞(一応伏せとく)だったのです。
「小説なら、いつも書いてるじゃないか!!(ジェイソンだけど)」
 そう思った私は、しかし次の一文を見て絶句しました。
「テーマ:『踊る』」
 …………『踊る』だとぉぉぉぉぉ---------------っ!?  ……で、私は迷いました。だって『踊る』ってさ……え、『踊る』? と言えば……毒キノコ? や、でもなぁ……
 とかすごく迷いましたね。まず応募するかどうかで。
「え、ジェイソンが月の晩に踊るってことにすればいいじゃん」
 っていう意見も友人の中から出てきましたが、「え、でもなぁ……」って迷っていました。
 家に帰って母に「どれに応募しよう」と相談すると、
「夢の森でいいんじゃない? アンタにとっては下手に作文書くよりは簡単じゃないの?」
 的なことを言われましてね。これで決心がついたわけです。
 で、母からも色々と意見をもらいまして完成したのがこの作品。A4用紙28枚にもなりました;;
 そして応募した結果が……見事落選!!!(笑)
 そりゃあな! こんなヤル気ナシセンスナシ名前パクリまくり(神話より)な駄作、無理に決まってる!!!
 ていうかもうパクりまくりですよ。まぁ今更言わなくてもいいかも知れないけど
  ヘレネ    →ギリシャ神話;トロイア戦争(スパルタのお姫様)
  パリス    →同上(トロイアの王子)
  アクレピオス →ギリシャ神話(アポロンの息子で医術の神)
  フレイヤ   →北欧神話(愛と美の女神)
  雲中子    →封神演義(仙人の一人)
  服部さん   →てきとう(笑)
 ですよ。うーん、元ネタのキャラとこっちのキャラ違いすぎですよね。特に雲中子とか。
 でも、仙人で……まぁメチャクチャ有名どころでもなく、差し障りのなさそーな人っていうので候補に挙がっただけなんですよね……封神演義ファンを敵に回したような気がする(かく言う私もその一人ですが);;
 ちなみにパリス特製青汁『スーパーケールとろいあ350』(→トロイアの王子だから)、『スーパーケールいりおす200』(→トロイアの別名)とフレイヤのアースガルズ財閥(フレイヤの属する種族「アース神族」の居所)などなど、名前にもこだわってんですけどね……
 ま、受賞作品のタイトルとか見てると落ちた理由も判る気がする。 だって皆さん、スッゴク真面目でステキなタイトルつけてらっしゃいますもん。私ふざけすぎてごめんなさいって感じ。ていうか……場違い?(笑)
 多分また来年も書くと思うな。今度のテーマは何だろう……

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