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THE・製作秘話〜CIA捜査官タダアキー〜

元ネタは古文!

 一応、この小説の第一話は「検非違使 忠明」という説話が元になってるんです。
「今昔物語集」という説話集で、その中の「本朝編」という分類にある説話なんです。
 その中には、かの有名な陰陽師・安部晴明の説話も収録されてるんですよ♥(注:作者は安倍晴明クラスタです)
 まぁ文語体で書かれてるから注訳なしじゃわけわからんけどな!(涙)
 それはともかく、この話と出会ったのは、忘れもしない(?)高1の4月ごろ。
 当時の古文の教科書に載ってた、記念すべき最初の教材だったのですよ。

おおまかにストーリーをまとめると……

 検非違使(京都の治安の維持や訴訟、裁判などをつかさどった職業)の忠明が若い頃、清水(←京都にある清水寺)の橋殿(清水の舞台?)で京童部(京の若者たち。この場合はおそらく粗暴で無法な振る舞いをする者を指している)とけんかをした。
 京童部は刀を抜いて(うわっ、イキナリかよ!)忠明を取り囲んで殺そうとしたので、忠明も刀を抜いて本堂の方へ逃げると、本堂の東の端で京童部がたくさん立ちふさがり向かってきたものだから(コワ!)、その方へ逃げることができなかったので、(しとみ)(格子の裏に板を張った戸)の下側の戸(コレは取り外しができるらしい。スゲェ!)を取って脇に挟み、目の前の谷に飛び降りたところ(えええええ!? 勇気あるなオイ!)、蔀の下に風が押しとどめられて(奇跡だ!!)、ゆっくりと谷底に落ちていき、そこから逃げ去った(結局逃げるんかい!)。
 京童部は谷を見下ろして、ただただ呆然と立ち並んで見ているだけだった。

 ここでプレイ・バ---ック!!
 忠明は、京童部が刀を抜いて立ち向かって来たときに、本堂の方へ向いて、「観音様、お助けください」と言っていたのです!! 忠明さんは、もっぱらこれはそのおかげじゃないか!? と思ったらしいです。

  ……というわけで、これが世に言う「清水の舞台から飛び降りる」ということわざ(?)の語源となった話だそうです。意味は「思い切ったことをする」だそうで。……確かに思い切ったことしてんな忠明さん……若さゆえの過ち…っていうか勇気ある行動なのかな??

古文の授業で……

 で、それの授業のとき、先生が「この話を現代風に置き換えると〜」的なことをおっしゃってたんですね。検非違使はCIAとかMI6とか公安のようなポジションだとか、京童部は今で言うヤンキーとかチンピラといった人たちだったとか、当時のお寺はおしゃれスポット(←聞いたときメッチャ笑った。おしゃれスポットって何よ!!)だったんだ、とか。あと、最初に馬駐って所(清水寺の入り口付近にあったようです)でチンピラと斬り交わすんだけど、そこはその名のとおり馬を駐める場所で、当時(平安時代)馬っていうと、身分の高い人たちしか乗れなかったので、今で言うリムジンとかが駐まっている駐車場なんだ、とかいうのも。
 そして! 先生が検非違使≒CIAって言ったときに、タイトルについてこのようなこともおっしゃっていたのです。
「CIA捜査官・ジョン(仮)」
 そのときです!! さながら名探偵コ●ンのように、私の脳内に何かが走ったのは!!
 そこで思いついたのが「CIA捜査官タダアキー」なんです!! 私はすぐさまノートにメモりました。本文タイトルの横、出典の「今昔物語集」と書いた横に「←安部晴明♥」と書いている(何してんだァァァ)やつの上に!!
 その日から、私の執筆活動が始まりました。そして3日後、異例の速さで仕上がり、放課後クラブ活動の最中にPCルームで霧雨白蓮と炎樹さんと3人で入力、その後それを自宅でまとめ上げました。所要時間は何と5日!! 私としては異例の速さですよ、ほんとに。
 そのあと、この作品はちゃっかり文化祭の部誌に載っちゃいました。そして(一応許可を得て)若干訂正もしつつ当サイトに掲載と、そういう経緯でここにあるわけです。

オリジナル版からセリフ書き換え版へ

 はい。今小説コーナーに展示してあるのは、「オリジナル版」と「セリフ書き換え版」の二種類がありますよね。
 何で二種類も同じものがあるのか? いえいえ、微妙に違うんです。
 タダアキーのセリフが古めかしくなっています。……ええ、古めかしく、です。読んでみたらわかる。
 部誌における『CIA捜査官タダアキー』のあとがき対談で、私が「今度続編したいな〜」なんてぼやいてたら、そのあと白蓮がタダアキーの続編を書いてくれたんですよね。そこに出てくるタダアキーが何故か古風な口調のハーフ設定で。そのまま続行する形となったので、じゃ原本を書き換えるか……ということで、あんな感じに。

 以前まで書き換え版のみを小説メニューに載せ、オリジナル版はこのページからこっそりリンク貼っていましたが、小説ページ全面改装した時にやはり初期のタダアキーも捨てがたいと思い直しましたので、小説トップページから両方へ行けるようにしました。

 ……とまぁ色々と変遷のあった『タダアキー』ですが、何とかこの形に落ち着くことになりました。いやまた変わるかもしれないけども。
 続編は今のところ予定してませんが、希望があればおっしゃっていただけるといつかお目見えするかもしれません。……かもしれません(笑)

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